2006年07月19日

暗送秋波

●48.暗送秋波(あんそうしゅうは)

【意味】ひそかに流し目を送って、相手に媚びること。「秋波」は、秋の澄んだ水波のこと。ここから転じて美人の涼しい目もとを指すようになり、女の人の媚びる目つき、流し目を表すようになった。

※参考
 この四字熟語を慣用句的に書けば、「秋波を送る」となります。これは、もともとは、女性が異性に対して流し目を送るという意味ですが、政治や経済などの話題で、相手を引き込む際の駆け引きを形容して使われることも多いです。
 また、「秋波を送る」は、李いく(火へんに「日+立」)の「菩薩蛮(ぼさつばん)」という詩の次の部分に由来します。「眼色暗相鉤、秋波横欲流」(眼色暗<ひそ>かに相<あい>鉤<いざ>ない、秋波横ざまに流れんと欲す)「目でひそかに誘う、その媚びる目があふれんばかりに流れてくる」からです。
 李いくは、中国の五代十国時代の南唐の第三代皇帝でしたが、政治的手腕はほとんどありませんでした。その代わり文学的な才能はめざましく、当時勃興しつつあった詞をはじめとして書や絵画にもその才を発揮した人物です。

 秋は冬の前でどことなく寂しげな感じがありますが、その一方で紅葉をはじめとして風景が美しいという印象も見る者に抱かせます。その点で二面性があるといえそうです。例えば、秋思(しゅうし)といえば、秋に感じるものさびしい思いを指し、前者のニュアンスが出ていますが、一方で、「秋波」は、この後者にあたる典型例です。
 「秋」に関して、少し興味深いのが、「秋娘」(しゅうじょう)という表現です。これは、一般には美人を指すのですが、風景ではなく、唐の謝秋娘・杜秋娘という美女からきたものです。しかし、「秋」の寂しげな感じが類推させたのでしょうか、年を経て容色の衰えた女の人を指すようにもなりました。
 いわば、まったく対照的な二面性を指す語ですが、ことばは本来の意味を離れ、いかようにも多義的な意味を伴いうることの例で、またそこがことばの面白いところでもあります。
posted by landmark at 00:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 四字熟語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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