2006年07月08日

安閑恬静

●36.安閑恬静(あんかんてんせい)

【意味】心安らかでゆったりとして、静かなこと。「安閑」も「恬静」も、心安らかで静かなことを指す。悟ったように無欲で心穏やかで静かなさまを指す。

※参考
 夏目漱石は、木瓜(ボケ)の花を評して、「安閑」としていると述べ、できることなら自分も木瓜になりたい、と記しました。それが以下の『草枕』の12章にみられる有名な一節です。
 「木瓜は面白い花である。枝は頑固であつて、曲がつたことがない。そんなら真直ぐかと云ふと、決して真直でもない。只真直な短かい枝に、真直な短かい枝がある角度で衝突して、斜に構へつつ全体が出来上がつて居る。そこへ、紅だか白だか要領を得ぬ花が安閑と咲く。評して見ると木瓜は花のうちで、愚かにして悟ったものであろう。世間には拙を守ると言う人がある。此人が来世に生まれ変わると屹度木瓜になる。余も木瓜になりたい。」
 その少し後に、「木瓜は二十年来の旧知己である。見詰めていると次第に気が遠くなっていい気持ちになる。」とあるところを見れば、木瓜に対する漱石の非常な愛着が感じられます。
 漱石は熊本の五高で教師をしていた時代、「木瓜咲くや漱石拙を守るべく」という句を編みました。これは漱石が熊本に来てから100年を記念して、現在鎌研坂(かまとぎざか)に記念碑が建てられています。

 漱石が木瓜に愛着を感じたのは、華やかさはないが、なにより「拙を守って」のんびりと咲くさまが好ましく思えたからでしょう。漱石は完璧すぎることを、また完璧だと驕ることをむしろ嫌っていました。心穏やかにのんびりと生きること、すなわち「安閑恬静」ということが漱石の生き方の目標であったといえるのではないでしょうか。

 「安閑」には、このように肯定的にとらえる用法もありますが、現在はむしろ「何もしないでのんきにしているさま」として「安閑としてはいられない」という用例があるように否定的に捉えるのが一般的です。忙しい現代社会。できれば肩の力を抜いてのんびりとした心境でいたいところですが、なかなかそうはいかないというのが現状でしょうか。

posted by landmark at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 四字熟語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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